日本の伝統的な襖紙の中でも、最高級とされるのが、手漉き襖紙「本鳥の子」です。
現在では襖紙の種類として、主に以下の3つに分類されています。
もともと「鳥の子」とは、雁皮(がんぴ)を原料として漉かれた和紙で、鶏卵のようなやわらかな色合いの紙を指す名称でした。
しかし、襖紙のデザインや量産品が増えたことで、現在では手漉きの高級襖紙を「本鳥の子」と呼び区別するようになりました。

襖紙には、三尺六尺(通称:さぶろく)と呼ばれる大きな規格があります。
このサイズの手漉き襖紙を流し漉きで制作している産地は、日本でも福井県の越前だけといわれています。
長い歴史を持つ越前和紙の職人たちは、伝承された技法を守りながら、一枚一枚丁寧に襖紙を漉き上げています。

和紙を漉く工程には、「圧搾(あっさく)」と呼ばれる水分を抜く工程があります。
機械漉きの場合はローラーで強く紙を締めるため、和紙繊維が押しつぶされやすいといわれています。
一方、手漉き和紙では、紙を平置きにして重しをかけ、ゆっくり時間をかけて水分を抜くため、繊維がつぶれにくく、和紙本来の風合いを保つことができます。
そのため手漉き襖紙は、昔から言われる 「襖は室内の湿度を調整する」という役割にも適していると考えられています。

手漉き襖紙には、無地だけでなく、さまざまな伝統技法による表情豊かな種類があります。
こうした技法によって生まれる襖紙は、自然の素材感と職人の技が融合した、日本ならではの美しい室内装飾です。

手漉き襖紙「本鳥の子」は、単なる建具材料ではなく、日本の和紙文化と職人技を受け継ぐ伝統工芸品とも言える存在です。
自然素材から生まれる豊かな質感と、時を経るほどに深まる風合い。
手仕事だからこそ生まれる一枚一枚の表情が、日本の住まいに静かな品格を与えてくれます。
photo:有限会社やなせ和紙
