
子どもたちも自立したので、ちょっといいふすまをつくりたい。」とお電話を頂戴したのが始まりで、「ふすまと畳」のご依頼をいただき、お客様のお宅へ。お宅がマンションであったこともあり、もともと設置されていたふすまは、残念ながら「スタイロ(発泡スチロール)」。このふすまは、基本的に「使い捨て」の骨となるので、今回は新しく「新調」での作成となりました。
ご主人がお茶を嗜まれており、ふすまにご興味を持たれたのだそうで「京からかみの襖にしよう」と、インターネットで当店HPにお越し頂きお電話を頂戴したようです。最初の打合せには、店主(兄)が一人で寄せて頂き、打合せから戻ってきた店主が「すごいわ〜、あの奥さん。ええもんをよう分かったはるわ。」と随分うなっておりました。


ご用命頂いた京からかみ、春挙松は「唐長版を使った本鳥の子といたや楓」。「春挙松」は、山元春挙の松。しっとりとした鳥の子色の紙に、光の加減で浮かび上がる雲母の全体柄が「これぞ京からかみ!」と感じさせる「色目、柄、光沢具合」。リビング側に設置した「いたや楓」は木版柄の面が大きく、洋室にも和室にも似合うだろう…と思っていた柄。これだけ雲母面があるのに落ち着いて見えるのは、やはり雲母独特のしっとりとした光沢のせい。ほんのりと赤みのあるカシュー黒溜のフチも上品で、京からかみにも良く合います。
「すっかり、お茶室らしくなりましたね〜。」
お客様にも大変お喜びいただけた様子。今回は「本襖」となり、骨が固まるまで1ヶ月ほどかかりますが、形がきちんと固まった後は、本当に長期間ご利用いただける良い襖となります。後日、お客様より「和の明かりを付けました」とお写真を頂戴しました。ありがとうございました。こちらにもアップをさせていただきました。すっかり雰囲気の変わった和室で、お客様に美味しいお茶を味わっていただいて下さい。また、何かございましたら今後ともよろしくお願いいたします。
たぶん、このフスマの張替は二十年近くは必要無いと思いますが…(笑)

| 【京からかみ・春挙松】 | 【京からかみ・いたや楓】 | |
|---|---|---|
| 柄 | 春挙松(京からかみ・唐長版) | いたや楓(京からかみ・唐長版) |
| 骨 | 本襖(八遍張り) | 本襖(八遍張り) |
| 下張り | --- | --- |
| 紙 | 本鳥の子 | 本鳥の子 |
| 染め色 | 雲母 | 雲母 |
| ふすま縁 | 加州黒溜め | 加州黒溜め |
| 引手 | 赤銅玉子 | 赤銅玉子 |