引手の種類は大きく分けると5種類です。
襖(ふすま)の引手は、ふすまを開け閉めする際にふすま紙に直接手が触れるのを防ぎ、手垢などからふすま紙の汚れをを防ぐ役目を果たします。
襖(ふすま)の引手にもさまざまな種類があり、材質の違いはもちろん豊富なデザインがあります。
高価な引手はひとつひとつ職人の手作りで作成されます。大量生産されるふすま引手は200円程度から。耐久性やデザイン、また長年使用できる引手を選ばれるのであれば、ある程度しっかりとした引手をつけられることをおすすめいたします。(価格は1,000円程度からあります)
注意)引手をお選びになる際はできるかぎり現物をご覧ください。カタログ等では材質や価格が違うにもかかわらず、同じようなデザインの引手はまったく同等に見えますが、実物を手に取ってみると風合いや重量感があきらかに異なり、時間の経過と共に良いものは風合いを増してゆきます。
また、昨今は使い捨ての引手が付けられている事が多く、通常は新しい安価な引手と取替をします。旧家などの古い襖には高級引手が付いていることがあります。引手の善し悪しを見分けることの出来ない業者様は安価な引手と交換をされてしまうので注意が必要です。
昔ながらの「襖引手」。引手をつくる職人さんの手で作成されたもの。土台となる金物には主に真鍮や銅が使用され、上塗りには「漆」などが使われている。
土台となる金物には主に鉄が使用され、塗装で仕上げられる。鉄製のものは「サビ」が出るため、張替えの際は無料取り替えをするのが通常。高級品になると、真鍮や銅が用いられる。
さまざまな木で作られる木製の引手。漆塗りの高級なものもある。ボンド止めのため、張替えの際割れてしまった場合は破棄する事になる。
陶器の焼き物の引手。基本的には「ボンド止め」となるので、張替えの際、割れてしまった場合は破棄する事になる。
プラスチックで作成された引手。主に段ボール、発泡スチロールで作成されたふすまに使用される。ボンド止め、もしくははめ込み。
フチの種類は大きく分けると3種類。(塗りフチ・木目フチ・アルミフチ)もうちょっと分けると5種類です。
襖縁(ふすまふち・ふすまフチ)はふすまの外周を囲ってふすまの強度を増す役割と、ふすまを開閉する際手アカなどでふすま紙を汚さないようにする役割をはたします。
【漆縁】
熟練の職人さん(塗師屋さん)の手で作成されます。この長いふちに漆を均一に塗るのは難しいらしく、かなり限定された職人さんの中で作成されているようです。漆ふちは、地方によって呼び名が異なり、通常書籍で「花塗り」と呼ばれる塗り方は「油分を含んだ漆を塗り、乾かすだけで研ぎ出さない技法」。関西では上等の物を半田中入(書籍等では上花塗り)、並のものを通例(書籍等では三方塗り)といいます。また、磨き仕上げされた縁を「呂色」といい、さまざまな色目や技法があります。
【加州縁】
現在、漆のような縁が入っているのは、ほとんどがこの加州縁です。艶有り、艶消し、赤溜め、呂色など…漆同様に種類が豊富にあります。
昔ながらの「襖フチ」。英語名を「JAPAN」と呼ばれる「漆」を塗った縁。
木に「カシュー」と呼ばれるカシューナッツから作成された「漆」の代用品を塗ったもの。
カシュー塗装をした黒艶消し塗りのふすま縁。
カシュー塗装をした黒艶消し塗りのふすま縁。赤を塗装した上に黒を塗装しているため、ほんのりと赤みのかかった上品なふすま縁(手塗り)。
カシュー塗装をした朱色のふすま縁。
カシュー塗装をした黄茶色のふすま縁。
木の目を生かした襖縁(ふすまふち・ふすまフチ)です。
現在、生地の襖縁(ふすまふち・ふすまフチ)で主流となっているのは「スプルース(外材)」や「目はじき」です。
木目が細かく詰んで軽い。狂いが少なく良質有用な材の生地縁。
木目は通直で均質。肌目は精で、表面を上手に仕上げると特有の光沢が出る。
木目は鮮明で通直。材はやや軽軟。
木理は通直で木目はやや緻密な木。仕上げ面には美しい光沢が現れ、耐朽性は良いとされている。
生木の白い縁はほとんどがこのスプルース。木目は通直で材は軽軟で弾力性がある、無味無臭の良材。
陶器の焼き物の引手。基本的には「ボンド止め」となるので、張替えの際、割れてしまった場合は破棄する事になる。
女桑の代用縁。茶色い縁はほとんどが目はじき。ささくれ立つことが多い。
集成材などの表面に、木の目を印刷した薄い紙を貼りつけたふすま縁。