襖(ふすま)の基礎知識

襖(ふすま)の基礎知識「ふすま骨」

「ふすま」を作成するときに、一番問題となるのは「ふすま骨」。これは家でいうと「構造部分」となるため、肝心要のものとなります。現在、ふすま骨の種類は大きく分けて4種類。(本来は、まだまだあります。)それぞれに「善し悪し」があるので、商品を知った上でお選びください。

・詳細は「襖骨のページ」をご覧下さい。
・当店では、新調「段ボール・スタイロ」はお取り扱いしておりません。

本 襖
チップボール
戸ふすま(ベニヤ襖)
段ボール・スタイロ
昔ながらの「襖骨」。何重にも貼られた和紙が呼吸をし、調湿をする。桂離宮や京都御所など、有名所に設置されているのはすべてこの襖。
現在、注文住宅に主に納品されている襖。「本襖」の下張りを簡素化させたもの。
主にリビングなどの洋室と和室の間仕切りに使用される襖骨。下張り(浮け紙)をせず、頻繁に張替えをしていると、合板(ベニヤ板)がめくれてくる。
基本的に「使い捨て」の襖骨。段ボールや発砲スチロールに薄いアルミ箔が貼られたもの。

襖(ふすま)の基礎知識「下張り・浮け紙」

「ふすま」を作成するときにも、張替えをするときにも「長期間使用できるように」と一番気を遣うのが、この「下張り」です。この下張りに関しては「表具師さんや経師さんなどの専門家にしか分からない、独特の和紙に対する知識」が必要となる(私もデザイナーなので、未だに分かりません…いや、一生分からないままかも…)箇所になります。「下張り」部分は仕上がった後には目にする事ができないので、「手を抜く」人が多いのも現状です。(価格によっても貼られなかったりします。)しかし「高級なふすま紙」を貼る際、ここで手を抜いたり知識不足だと、本来であれば数十年使用できるはずの襖が、数年後には襖骨の跡が表紙に浮き上がってきたり、シミだらけになったり…と、とんでもない事が起こりかねません。

襖(ふすま)の基礎知識「ふすまフチ」と「ふすま引手」

最近は「フチなし」の襖が多く作成されています。
「フチなしの襖を作ろうと思っているのですが、お宅のHPを見ているとフチのついたものが多いですよね。」とよく言われます。当店では、頻繁に開け閉めをされる所に設置をされるふすまに関しては「引手」や「フチ」をつけることをお勧めしています。

「フチなし」の襖は元々、開閉頻度の低い「お茶室」などに使用されていたもので「普段使いではない箇所」に設置をされる襖であるため、耐久性に欠けます。「フチなし」の襖を普段使いのところに設置すると襖の角から紙が破れやすくなり、また「引手」がないと「手」が紙に直接触れ、短期間のうちに手垢で紙が汚れてしまいます。また、この手をかけるところからも紙が破れてきやすくなるのです。薄い紙が貼られているだけなので、骨も歪みが出やすく弱くなります。このお話をするとほとんどのお客様が「それは嫌」とおっしゃられるため、当店で作成をさせていただくほとんどの襖には「フチ」「引手」がついているのです。もちろん商品にご納得いただいて、お客様から「それでもフチなしが良い」とお伺いした際には、喜んで!お作りします。

【ふすまフチ】
フチの種類は大きく分けると3種類。(塗りフチ・木目フチ・アルミフチ)もうちょっと分けると5種類です。もう少し詳しくは「襖縁(ふすまフチ)のページ」をご覧下さい。
*当店では現在「ラッピングフチ」「アルミフチ」はお取り扱いしておりません。
塗りフチ
(漆)
塗りフチ
(カシュー塗)
木製
ラッピング
アルミ
昔ながらの「襖フチ」。英語名を「JAPAN」と呼ばれる「漆」を塗ったフチ。
木に「カシュー」と呼ばれるカシューナッツから作成された「漆」の代用品を塗ったもの。
生木のフチ。代表的なものは「桑」「女桑」。現在頻繁に使用されているのは「スプルース」と呼ばれる外材。杉や桧などもある。
集成材に木目の印刷をした紙を貼ったフチ。
アルミ枠内に段ボールまたは発泡スチロールを入れたフチ。

*当店では扱っておりません。

【ふすま引手】
引手の種類は大きく分けると4種類。(金物・木製・焼き物・プラスチック)もうちょっと分けると5種類です。もう少し詳しくは「襖引手のページ」をご覧下さい。
*当店では現在「プラスチック引手」はお取り扱いしておりません。
金物引手
(高級品)
金物引手
(量産品)
木製
焼き物
プラスチック
昔ながらの「襖引手」。引手をつくる職人さんの手で作成されたもの。土台となる金物には主に真鍮や銅が使用され、上塗りには「漆」などが使われている。
土台となる金物には主に鉄が使用され、塗装で仕上げられる。鉄製のものは「サビ」が出るため、張替えの際は無料取り替えをするのが通常。高級品になると、真鍮や銅が用いられる。
さまざまな木で作られる木製の引手。漆塗りの高級なものもある。ボンド止めのため、張替えの際割れてしまった場合は破棄する事になる。
陶器の焼き物の引手。基本的には「ボンド止め」となるので、張替えの際、割れてしまった場合は破棄する事になる。
プラスチックで作成された引手。主に段ボール、発泡スチロールで作成されたふすまに使用される。ボンド止め、もしくははめ込み。

襖(ふすま)の基礎知識「ふすま紙」(上貼紙)

ふすま紙は豊富にあります。さまざまな紙を見てご自身に合った素敵なふすま紙を見つけてください

【ふすま紙】
紙の種類は大きく分けると2種類。(織物系・紙系)もうちょっと分けると4種類です。もっと分けると…膨大にあります。で、もう少し詳しくは「襖紙の種類のページ」をご覧下さい。

天然織物系
紗(織物)
越前手漉き和紙
機械漉き紙
葛布、芭蕉布、絹しけなど。天然の繊維を使用して織られた高級ふすま紙。
ランクによって異なる。並品は紙に荒い目の布を貼ったもの。高級品になると、布の目が細かくなり、布に紙を貼ったようなものになる。
福井県越前市だけで作成される、流し漉きの高級手漉き和紙。
主に再生紙料や木材パルプなどを使用して作られる機械漉きふすま紙。。種類は豊富で紙ランクもさまざま。