今回のお客様は、ご来店当初ご主人お一人。当初はメーカー販売の襖紙をご所望かと色々とお話をお伺いしておりましたが、どうやらHPをご覧いただいてお越し頂いたようで、店内にあった「伊勢型紙砂子振りの襖(ふすま)」をお気に召して頂き、この柄を入り口廊下に設置をさせていただきました。この襖を開けると和室があります。お部屋内には、からかみ「嵯峨野」。また、押入には「嵯峨野」柄の邪魔にならないよう、うっすらと色のついた薄香紙に雲母刷りした「春挙松」のからかみを設置。光の加減で、手漉き雲肌の渦、からかみの柄が浮かび上がります。
今回お客様が選ばれた縁は、通常「屏風」に使う色付け女桑の高級品です。通常の縁のホゾには細かな細工はされていませんが、この縁は木材の接合継手のひとつである「蟻継ぎ」になっており、抜けにくくなっています。さまざまな所で思いますが、日本の伝統工芸品は見えないところに色々と工夫や仕掛けがされており、「長く心地よく使えるように」との先人たちのきめ細かさや心遣いをひしひしと感じます。
引手は現代風に「銀消 敷島・無地」。
さて、襖が仕上がり「納品」、建付工事です。襖(ふすま)は決まったサイズがあって工場で大量に作られている訳ではなく、鴨居、柱、敷居に綺麗に収まるよう、個々のお宅のサイズに合わせて作ります。
「こんな風に現場で細かく工事をするとは思っていなかった!」とお客様が驚かれていらっしゃいました。
お客様にも大変お喜び頂き、当方もうれしいかぎりです。「今度、壁にも「嵯峨野」張って、大きな絵画のようにしたい!」とのお話もいただきました。また、よろしくお願いいたします!